二つの班のうちの一方、深渓村の班では、住民のお宅に一軒一軒訪問し、生活や生業について、インタビューや実際の様子を見せて頂きました。そこから安吉の現在の文化・暮らしを調査しました。
住民の皆さんは自分自身のスキルを持って、それぞれの生活を築いていることが明らかになりました。それらの生活を3つの軸で私たちは捉えることにしました。
Ⅰ.幸せを『お福分け』する深渓村
調査中には、美味しい料理をご馳走や美しいコレクションの石、果物、二胡(手作り!)の演奏等あらゆる手作りのものや大切にされているものを頂きました。
深渓村のゆったりとした時間の流れや、大らかな人間性は、自然の豊かさが深渓村に余裕を持たせていると私たちは考えました。
そこで「お裾分け」から派生し、「お福分け」という言葉をつくり、自然等の他から受けた恩恵を分かち合う文化に出会いました。
Ⅱ.六十八の技術が残る深渓村
この村には基本的に民泊営業をされている方がほとんどですが、それに加え、祈禱や盆栽、蓬餅づくり、石集め、養蜂、竹加工等、18人から多彩な68の技能を私たちは発見しました。
豊富な石、山、水などの自然が、技能によって、竹林や畑などの二次的自然になり、それが竹や家畜、茶葉等の素材に、そしてそれらが料理や蜂蜜、竹かごなどのプロダクトの形になる流れに気づきました。(図1)
図1 68の技能の流れ
Ⅲ.○○のように開発する深渓村
民宿の観光開発の戦略を4つに類型化しました。村全体で協働し観光開発を促進する「高速バス型」、村全体で協働して観光を抑制する「低速バス型」、各集落で協働し、高速と低速が混在する「自動車型」、そして各民宿で独自のサービスを独自の速度で走る「バイク型」です。(図2)
図2 4つの民泊観光開発
ブランドをグローバルに益々発展させたいオーナーがいる中で、子どもに緑豊かな環境で育てたい、お客さんとのお喋りが楽しみで経営している等、様々な住民の考えに触れました。
自然が豊かな深渓村で、世界に通用するブランディング化を図ろうとする村の行政職員に対し、私たちから最後にメッセージを届けました。
「どの乗り物に乗るかは住民自身の声を聞いて考えてみてください。」
最後に、調査にご協力下さった深渓村の皆さんは個性的で、次々と魅力的な方々にお話をお伺いすることができ、大変刺激的な体験となりました。ありがとうございました!謝謝!
↑最終日の朝、お世話になった宿の皆さんと。
文責:M1 末澤